賃上げ助成金パックを周知 生産性向上など支援 厚労省・令和7年度運営方針(2025/4/12)
厚生労働省は令和7年度地方労働行政運営方針を策定した。労働市場全体の賃上げを後押しするため、生産性向上や正規・非正規の格差是正などに関する8つの助成金をまとめた「賃上げ」支援助成金パッケージの周知に重点的に取り組むとした。事業場内最低賃金の引上げを促す業務改善助成金をはじめ、各社のニーズに合った助成金を活用してもらえるよう情報提供を行う。労働者の労働条件確保対策では、スポットワークで働く労働者からの相談に丁寧に対応する方針を明記した。監督指導時に、所定外労働に賃金を支払わないなどの法違反がみつかれば是正指導を実施する。
「賃上げ」支援助成金パッケージは、令和7年度から新たに設定したもので、設備・人への投資など生産性向上への支援、正規・非正規の格差是正への支援、より高い処遇への労働移動への支援――に関する8つの助成金で構成している。そのうちの多くで、賃上げした企業に対する加算措置の新規導入や、賃金助成額の引上げなど、企業の賃上げへの支援を強化・拡充している。
たとえば、外部専門家のコンサルティングや、労働能率の増進に資する設備機器の導入を実施し、労働時間削減などの成果を上げた中小企業を対象とする働き方改革推進支援助成金では、賃金の引上げを行った場合における加算措置を強化した。6年度は、5%以上の賃上げに対して最大240万円を上乗せして支給していたが、7年度は新たに「賃上げ7%以上」の区分を設け、最大360万円を加算する。
正規・非正規の格差是正への支援関係では、有期雇用労働者の基本給を定める賃金規定を3%以上増額改定し、その規定を適用した企業を支援するキャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)を拡充した。「賃上げ6%以上」の区分を新設するとともに、1人当たりの支給額を最大6.5万円から同7万円に引き上げた。有期雇用労働者に適用される昇給制度を新たに設けた企業に対し、中小企業の場合で1事業所当たり20万円の加算措置も設けた。
同パッケージの周知を進める際は、企業が賃上げに取り組む目的や方法が多様であることを踏まえ、個々の企業が自らのニーズに沿った助成金を選択できるよう情報提供を行っていくとした。
運営方針ではそのほか、労働条件の確保・改善の取組みとして初めて、主に短時間・単発の仕事に就く「スポットワーク」への対応に言及した。労働者から労働基準監督署に相談が寄せられた場合には、労働関係法令について丁寧な説明を行っていく。厚労省によると、これまでにも複数の相談が寄せられている。
労働者から得た情報などに基づく監督指導を実施し、スポットワークで働く労働者に関する労働基準法違反が確認された場合は、必要な指導を行う。所定労働時間を超える残業に賃金を支払わないケースや、法定の割増賃金を支払わないケースなどが考えられるという。本業を持つ労働者が副業としてスポットワークで働き、通算して法定労働時間を上回ったときに、副業先に対して自己申告したにもかかわらず割増賃金が支払われないケースについても、法違反として指導する。
(以上 労働新聞より)