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福祉の現場から~社労士の視点  気づき(2023/12/27)

福祉の現場から~社労士の視点

 

福祉の窓口で相談を受けていると様々なケースに遭遇します。その中で社労士として感じたことを書いていきたいと思います(事例は実際の相談内容を元に加工してあります)

 

事例2

ある日、1年以上の車上ホームレス(車で生活をするホームレス)をしていたAさんが相談に来ました。Aさんはコンビニで食料品を万引きして逮捕された方でした。幸いAさんは初犯(初めて盗みを犯した)であったので、不起訴処分となり20日間の拘留後に釈放されました。釈放されたその足で生活保護の相談に来所されたのです。

 

Aさんは30年以上某大手自動車関連会社に勤務していました。結婚もされていましたし、お子さんにも恵まれ、マイホームもお持ちでした。しかし、数年前に精神的不調になり職場を退職。しばらく家でのんびりしていましたが、家族の理解を得られませんでした(Aさんは心療内科等を受診しておらず、診断名はついていません。おそらくは鬱状態と想像されました)。Aさんは、家族からの理解が得られないまま離婚。マイホームを売却しローンの返済に充てました。余ったお金は元妻と分け合い、Aさんはホテル暮らしとなりました。数百万円のお金があったそうですが、ホテル暮らしはお金がかかるため、ほどなくして車上ホームレスとなりました。お金に余裕がある間にアパート等を借りれば良かったのですが、Aさんは何もヤル気が起きず、徒に月日が過ぎていきました。しばらくすると車の車検も切れて移動することも出来ず、手持ちのお金も底がついてしまい、冒頭の万引きに至りました。

 

お話を伺っている最中に、何度も涙を流し、「強い父親」を演じていたことを話されていました。

 

Aさんは、生活保護を申請され、宿泊施設に身を寄せて再出発を始めました。もちろん診療内科等の病院を受診するように促しています。

 

社会保険労務士として思ったことは、「30年以上勤務している社員が突然退職の意思表示をした時に、上司は異変に気が付かなったのかな?」「メンタルヘルスのチェックはどうなっていたのかな?」「Aさんへ病院受診を促すことや産業医へ相談することを勧めることは難しかったのかな?」と考えてしまいました。病院受診を促すことは非常にデリケートな問題です。必要な場合には、病院受診を促すことが出来る規定を就業規則等で定めておくことも大事ではないかと考えました。

 

様々な場面で人事労務の専門家である社会保険労務士に相談して頂けたらと思います。

 

「人に優しい企業つくりから~人に優しい社会へ」社会保険労務士として出来ることをもっともっと考えていきたいと思います。

 

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