福祉の現場から~社労士の視点 人を大切にする企業とは・・(2024/1/5)
福祉の現場から~社労士の視点 人を大切にする企業とは・・
福祉の窓口で相談を受けていると様々なケースに遭遇します。その中で社労士として感じたことを書いていきたいと思います(事例は実際の相談内容を元に加工してあります)
事例3
ある日、Bさんが相談来ました。「生活保護を受けられますか・・・」と、オドオドしながら質問されました。私は「生活保護はいつでも申請出来ますよ。いつでも大丈夫。逃げも隠れもしません(笑)何があったのですか?」とお聞きしました。すると・・・
Bさんは「今月上旬、仕事中に脳卒中になりました。救急車で運ばれ、2週間程入院しました。数日前に退院したばかりです。貯蓄もなく今後の生活が不安です。入院費の負債もあります」と話されました。また、会社の方から「補償は何もないよ」と言われたそうです。
よくよくお話を聞くと、仕事は継続されており、健康保険に加入中でした。また職場には3年程継続勤務されていました。社会保険労務士の先生方ならピンときますよね、健康保険から傷病手当金を受給出来ます。また、離職した場合の継続給付も可能です。私は傷病手当金について説明し、職場と主治医に協力して頂くようにお伝えし、全国健康保険協会への申請用紙を手渡しました。
幸いBさんは後遺症が少なく、すこし手に痺れがある程度で、「来月からリハビリも兼ねて勤務日数を減らし、就労を再開する予定です」と話されました。私は「主治医の先生と良く相談して下さい。勤務日数を減らしている間も、傷病手当金を受給出来る可能性がありますよ」とお伝えしました。Bさんは安心された様子で帰られました。
傷病手当金については、多くの方が知らないのが現状です。在職中に請求をしていない方も多く、その結果として資格喪失後の継続給付を受けられない方も沢山見てきました。一概には言えませんが、傷病手当金を受給する方が生活保護を受給するよりメリットがあるケースが多々あります(通院状況による医療費自己負担額に左右されますので、ケースバイケースですが)。
会社によっては健康保険から傷病手当金を受給出来ることを知らない場合があります。当然、「資格喪失後の継続給付」については知る由もありません。従業員に病気やケガが発生した場合、ぜひとも社会保険労務士に相談して頂きたいです。
従業員の私傷病に対する会社の適切な対応は、会社の価値を高めすべてのステークスホルダーから信頼されます。「働き方改革」が進められるなか、人口減少や労働力人口の減少を考えた時、「人を大切にする企業作り」は最重要の課題ではないでしょうか・・。