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ビジネスと人権 その③(2024/7/19)

ILO高﨑真一駐日代表の寄稿から一部抜粋の続きです。
(月刊社労士令和4年9月号より)

「国内の 企業にとって侵害リスクが高い人権として、、セ クハラ、パワハラ等のハラスメントが 挙げられる。いうならば、受注企業が 男女差別やセクハラを起こした場合に は、発注元企業が責任を問われかねず、 最悪、受注企業が取引契約を打ち切ら れる可能性もあるということである。 そのほか、同一価値労働であるにもか かわらず、日本人労働者に相応な賃金 を支払い、外国人労働者には機械的に 最低賃金を支払っている場合など、外国人差別として問題となりかねない。 地方の中小企業にとっての最大の人権侵害リスク は、外国人技能実習制度である。同制度については、 米国政府が「人身取引報告書2022」で3年連続問題 視しており、国連人種差別撤廃委員会からも同種の 指摘を受けていることをご存じだろうか。「ビジネ スと人権」においては、国内法の遵守だけでは足り ず、国際社会から対応を求められている労働基準に 配慮して行動することが求められる点に注意が必要 である。送出し機関が実習生から手数料を徴収して いる点や実習生の転職が制限されている点は、国際 規範的には問題となり得る(参考:「外国人雇用、国 際規範とズレ 国内合法でも「人権侵害」日本経済新 聞2022年7月3日 https://www.nikkei.com/article/ DGXZQOUE071O70X00C22A6000000/)。新疆ウイ グル自治区での強制労働疑惑から、米国政府は同地 区産品の輸入を原則禁止した。万が一、外国人技能 実習制度の強制労働性が認定されたら、実習生を使 って作った産品は…。折しも、古川前法務大臣は、 現行の外国人技能実習制度には問題があるとして抜本的に見直す方針を明らかにした。」


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