高年齢者労災防止 専門家のリスクアセス促進 中小向け補助金拡充 厚労省・来年度(2024/9/20)
厚生労働省は令和7年度、高年齢者の労働災害減少に向けて、中小企業への支援を強化する。リスクアセスメント結果に基づく効果的な労災防止対策の実施を促進するため、エイジフレンドリー補助金に新コースを設置する考え。新コースでは、労働安全コンサルタントなど専門家によるリスクアセスメントの実施経費と、リスクアセスメントを踏まえて優先度の高い対策として実施した機器導入などの経費の5分の4を補助する。上限額は100万円。
中小企業への支援を強化する背景には、高年齢労働者による労働災害の大幅な増加がある。厚労省の集計によると、全雇用者に占める60歳以上の割合は、平成15年には10%未満だったのに対し、令和5年には20%近くにまで増加。一方、労災死傷者数に占める60歳以上の割合は、15%程度だったものが5年には約30%に上るなど、高年齢労働者数の増加を上回るペースで増えている。
高年齢労働者の労災減少に向けて厚労省ではこれまで、身体機能の低下を補う施設・設備・装置の改善や作業内容の見直しの具体策を示した「エイジフレンドリーガイドライン」を周知するとともに、職場環境の改善を進める中小企業を対象としたエイジフレンドリー補助金を支給してきた。
ガイドラインでは、効果的に労災を防止するため、企業に対し、災害事例やヒヤリハット事例の分析を通じたリスクアセスメントの実施と、その結果に基づく対策の優先順位付けも求めているが、厚労省は、「中小事業者では独自にリスクアセス結果に基づく取組みの優先順位付けを行うことは困難」と判断。労働安全コンサルタントなど専門家の下で効果的な対策を講じられるよう、同補助金に新コースを設置する予定だ。
新たに設けるのは、「エイジフレンドリー総合対策コース」(仮称)。リスクアセスの実施に当たって、専門家の活用を促す。7年度予算概算要求に関連費用を盛り込んだ。
補助対象は、専門家によるリスクアセス実施費用のほか、その結果を踏まえて実施した優先順位の高い対策にかかった経費。具体的には、転倒・墜落防止のための階段への手すり設置や高所作業台の導入、床材の変更工事、腰痛予防対策としての重量物運搬機器の導入などが想定される。補助率は5分の4で、専門家を活用せずに職場環境改善を行った中小企業を対象とする既存の「労働災害防止対策コース」(補助率2分の1)よりも支援を手厚くする。補助上限額は100万円。
コース新設に伴い、労働災害防止対策コースは「職場環境改善コース」に名称を変更する予定。
(以上 労働新聞より)
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