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ビジネスと人権⑥ ILO中核的労働基準③ 「ビジネスと人権」推進社労士(2024/11/11)

2 強制労働の禁止

 

国内法である労働基準法(第5条)では、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならな い。」と定められています。国際基準であるILO条約(第29号第1条及び第2条)では、加盟国は、強制労働(処罰の脅威の下に強要され、かつ、自ら任意に申し出たわけではない すべての労働または役務)を廃止することを約束すると定められています。

 

強制労働については、特に注意が必要な分野です。

日本国内で強制労働などないと思わないで下さい。国際基準から見れば強制労働と考えられるケースがあり、注意すべき点を沢山あります。

 

以下は代表例となります。

1人格を傷つける言動、差別的言動、または威迫する言動を用いて労働させることは、強制労働を基礎づける要素の一つに当たる可能性があります。

2就業時間外(休憩時間も含む)に労働者が職場や寮を離れることを制限し、またこれを監視することは、労働者の移動の自由を奪う行為で強制労働を基礎づける要素の一つに当たる可能性があります。

借金返済のために労働を余儀なくされ、職業に関する自由や権利が奪われていることは強制労働を基礎づける要素の一つに当たる可能性があります。

ILO国際基準では「債務労働は労働者(時にはその家族共々)が自らの借金又は承継した借金を返済するため使用者の下で働かざるを得ない状況に追い込まれたときに生ずるもの」とされています。これこそ、外国人技能実習生を受け入れている日本が厳しく非難された理由です。外国人技能実習生の場合、仕事を得るための募集斡旋手数料や関連費用を借金によって賄っていることが非常に多いです。その事実を知りながら、外国人技能実習生を受け入れ、さらに「技能移転のためには数年は必要」との理由で転職を制限しました。国際的に非難されても言い訳が出来ない状態だったのです(この状況に加えて、最低賃金以下で労働させているケースもあり、まさに最悪の強制労働のケースとなっていたのです)。

令和9年には外国人技能実習法は廃止され、育成就労法が施行されます。しかし、債務労働の危険性が無くなった訳ではありせん。日本が選ばれる国になれるかどうか・・これから真価が試されるのです。

債務労働の問題に取組み、外国人材が母国で借金をしないで来日出来るように取組んでいる団体があります。一般社団法人JP-MIRAIです。興味のある方は一度覗いてみて下さい。

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