外国人材に社保の説明を 早期離職防止へ冊子 民紹協(2024/11/16)
全国民営職業紹介事業協会(紀陸孝会長)は、外国人材を紹介する事案の増加に伴い、求人企業と求職者との間でトラブルが多発していることから、求人企業において取り組むべき対策や人材定着方法を明らかにした冊子を作成した。とくに多いトラブルとして、提示した労働条件と実際の手取り額の違いから、早期離職に至るケースを挙げている。紹介された人材の定着につながるよう、社会保険料や源泉徴収などの仕組みの説明をしておく必要があるとした。
冊子は、厚生労働省委託の「職業紹介事業者の適正化推進事業」の一環として作成したもの。企業が外国人を雇用する際に生じやすいトラブルとして、労働条件に不満を抱き、早期離職してしまう点を挙げている。とくに、社会保険料などの影響で手取りの賃金額が変わることを知らず、約束が違うと誤解されてしまうケースがあるとした。
トラブル防止策として、外国人材に対して求人企業から社会保険料や源泉徴収の仕組みを説明しておくことの重要性を強調している。キャリアアップを求める人材も多いため、明確な賃金規程や公平な人事制度を構築し、定期的な面談を行うことも効果的と提案した。
外国人材を活用する際のトラブルには、日本語能力の不足も挙げた。工夫点として、顧客との打合せに1人で行かせるには高い日本語能力が求められるが、日本人社員が同席してフォローできるようにしておけば、一定程度の日本語能力で遂行できるとしている。
冊子の作成に当たっては、国外にわたる職業紹介事業を営む599事業者に調査を実施している。主に、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ人材と、特定技能外国人を紹介している事業者を対象にした。紹介時のトラブルを複数回答で聞くと、技人国と特定技能のいずれも「日本語のスキルが低い」が最多となり、50%を超えている。次いで、「入国後に紹介した企業を突然辞めた」がいずれも30.2%だった。
民紹協では、紹介事業者の適正化推進事業の一環として、11月から外国人材の紹介をテーマに全20回のガイダンスを実施している。社会保険労務士兼行政書士が講師を務め、紹介する際の課題や解決方法、企業への助言方法などの講義を行う。冊子は、ガイダンスの教材として当日の参加者に配布する。ホームページ上にも掲載し、求人企業でも閲覧可能にした。
(以上 労働新聞より)
「ビジネスと人権」(BHR)から考えても、とても重要な点です。外国人労働者に対して社会保険の大切さを説明することは最重要です。健康保険や厚生年金には傷病手当金や障害年金が用意されており、非常に大切であると説明する必要があります。また額面収入から社会保険料を差し引いた金額(手取り金額)を提示することは、日本での生活をイメージし易くなります。企業が高額収入を装い、(発生するかどうか不明な)残業代込みの額面金額を提示することは、日本語能力の不足している外国人に対して不適切な対応です。次に、厚生年金の大切さです。10年以上の加入期間があると脱退一時金が受給出来なくなります。つまり10年を一つの区切りとしてキャリア形成を伝えるべきです。日本でずっと暮らすなら、厚生年金をしっかり継続する必要があります。もし帰国を希望するなら、脱退一時金は大きな財産になります。そのためには、入社の時に本人の意向を聞き取り、定期的な面談に行い、一緒にキャリア形成や人生設計について考えることが必要となります。本気で関わってくれる優しい企業であれば、外国人材が逃走するでしょうか?企業を訴えるでしょうか?犯罪に走るでしょうか?・・・企業価値の向上につながりませんか?社会的信用が上がりませんか?人材の定着に繋がりせんか? 「人に優しい企業つくり」から「人に優しい社会へ」、私達社会保険労務士のモットーです。
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