外国人労働者 教育不備での労災めだつ 雇用セミナー開催へ 横浜南労基署(2024/11/17)
神奈川・横浜南労働基準監督署(千葉幸則署長)は、外国人労働者が被災する労働災害や、相談が増加していることを受け、雇用管理の改善を事業場へ呼び掛けている。今年9月末現在、休業4日以上の労災は前年比2割増の586件に上っており、食料品製造業を中心に、外国人労働者が作業に伴う危険性を理解しないまま作業し、災害に至っているケースがめだつ。今後、外国人を雇用する事業者向けのセミナーを開催し、安全衛生に関する講演を行う予定だ。賃金不払などの労働相談も増えていることから、円滑なコミュニケーションの方法や在留資格の知識も周知する。
9月末までに同労基署管内で発生した製造業全体の労災件数は58件で、前年比で70.6%増加した。うち食料品製造業は24件となり、前年から71.4%伸びている。とくに外国人が被災するケースがめだつとしている。
令和5年に、外国人労働者が被災した休業4日以上の労災の件数(新型コロナ除く)は32件だった。全体に占める割合は年々増えており、元年には2.3%だったが、5年は4.1%に上昇した。「今年は集計中だが、昨年よりも高くなる見込み。切れ・こすれなど機械や道具の使用中の事故のほか、転倒災害も起きており、外国人労働者が作業手順や危険性を十分に理解していないと思われる」(同労基署担当者)。
安全面以外でも、労働時間や賃金といった労働条件や、解雇に関する相談も増加しているという。「在留資格も国籍もさまざまな労働者から相談を受けている。申告事案として監督にまで至るケースは少ないものの、コミュニケーションエラーや伝達不足により、トラブルが発生しているケースが多い」と危機感を示す。
セミナーは来年2月に、ハローワーク横浜南と連携し、外国人を雇用している事業場を対象に実施する。たとえば、安全衛生教育を行う際には、動画を織り込んだ資料を作成するよう指南する。就業規則や職場のルールを理解してもらうための、コミュニケーションのポイントに関しても取り上げる。
不法就労防止のため、出入国在留管理局横浜支局から講師を招き、在留資格に関する講演も行う。在留カードの見方や、働くことができる在留資格などを解説する予定だ。
同労基署が管轄する横浜市内5区においては、外国人の人口は約4万2000人(10月末現在)に上る。横浜中華街のある山下町を中心に、中国人や韓国人の割合が高くなっている。
(以上 労働新聞より)
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