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労基法見直し 14日以上の連続勤務禁止 36協定締結時も対象 厚労省研究会・報告書たたき台(2024/11/25)

厚生労働省の労働基準関係法制研究会(座長・荒木尚志東京大学大学院教授)は11月12日、労基法見直しに向けた検討報告書の骨子案に当たる「議論のたたき台」を明らかにした。労災認定基準である2週間以上の連続勤務を防ぐ観点から、13日を超える連続勤務を禁止する規定の創設を提言した。36協定で休日労働の条項を設けた場合も対象とする考え。法定休日については、あらかじめ特定するよう法律で規定することが必要と指摘している。今年度中に最終的な報告書を取りまとめる予定。

 議論のたたき台では、労働時間法制の具体的課題に関する提言を盛り込んだ。

 業務の繁忙や業種・職種の特性によって長期間の連続勤務を余儀なくされているケースがあるだけでなく、実際に労災事例も発生している現状を踏まえ、連続勤務の上限設定に向けた検討が必要と指摘している。

 現行制度においては、変形休日制(4週4日)によって最大48日間の連続勤務が可能なうえ、36協定を締結すれば理論上は1年中休日なしで働かせることもできる。そのため、36協定に休日労働の条項を設けた場合も含め「13日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労基法上に設けるよう求めた。精神障害の労災認定基準において、「2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行ったこと」が心理的負荷の指標の1つになっている点を重視した。

 法定休日については、労働者の私的生活のリズムを保つ観点から、あらかじめ特定すべきことを法律上に規定することが必要としている。その際、罰則の適用や法定休日の振替などに関する法解釈も明確化すべきとした。

 副業・兼業時の割増賃金算定に当たって労働時間を通算する仕組みの廃止も盛り込んだ。

 現行制度では、副業・兼業先の労働時間を自社の労働時間と合わせて、自社での労働が1週40時間または1日8時間を超える労働(法定外労働)に該当する場合には、36協定の締結・届出のほか、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要になる。

 通算に当たっては、本業・副業先双方の使用者がそれぞれの労働時間を1日単位で細かく管理しなければならず、負担が大きいことなどから、割増賃金の支払いについては通算を不要とする制度改正に取り組むべきとした。ただし、労働者の健康確保のために労働時間を通算する仕組みは維持していく。

 テレワークにおける柔軟な労働時間管理のあり方にも言及した。テレワークの実態に合わせたフレックスタイム制や、テレワーク時に利用可能なみなし労働時間制度が考えられるとした。前者については、コアタイムを拡張し、特定の日に始業・終業時刻を使用者が決定できる「コアデイ」制度を導入することで、テレワーク日と通常勤務日(出社して定時勤務する日)が混在する場合でもフレックス制を導入できるようにする。

 同研究会は今年度中に最終的な報告書をまとめる予定。その後、報告書に基づき、労働政策審議会で法改正に向けた議論を進める。

(以上 労働新聞より)

「ビジネスと人権」では休日・休暇・休憩を与えずに、労働者の意思に反して働かせることは強制労働を基礎づける要素の一つに当たる可能性があるとされています。国内法における「4週4日制の連続勤務可能」については、以前より問題視されていました。今回、やっと改正されるようです。

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