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ビジネスと人権⑮ 人権方針の策定② 「ビジネスと人権」推進社労士(2024/11/26)

人権方針の策定公表 その2

 実際に人権方針を策定する際に記載する項目例は以下の通りとなります。

 1.   位置付け

人権方針は、人権尊重の取組について企業の基本的な考え方を示すものです。経営理念や行動方針とも密接にかかわるものであり、こうした企業経営における重要な文書と人権方針との一貫性を担保させましょう。

2.   適用範囲

一般に、人権方針は、自社だけでなく自社が支配権を持つ他の企業にも適用されます。グループ会社にも人権方針を適用させる場合は、適用対象となる「グループ会社」の定義を明確にしましょう。

3.   期待の明示

人権方針を実践するためには、取引先を含む関係者の協力が不可欠です。自社の従業員や取引先などの関係者に対する人権尊重への期待を明確にしましょう。

4.   国際的に認められた人権を尊重する旨のコミットメントの表明

前述のとおり、企業が尊重責任を負うのは「国際的に認められた人権」です。そのため、人権方針には国際的に認められた人権を尊重する旨を明記し、関連する国際文書を支持することなどを記載するとよいでしょう。

5.   人権尊重責任と法令遵守の関係性

言うまでもないことですが、企業は国内法令を遵守しなければなりません。しかし、事業をしている国の法令遵守だけでは「国際 的に認められた人権」の尊重を満たせないことがあります。国内法令の遵守だけで不十分な場合、企業は国際的に認められた人権を可能な限り最大限尊重する方法を追求する必要があります。

6.   自社における重点課題

まずは自社が関係しうる人権を把握し、特に深刻な人権侵害が生じ得る人権に焦点を当てた取組を行う旨を、御社の重点課題として人権方針に記載することが考えられます。自社事業や社会状況の変化で重点課題が変わるときは人権方針を見直しましょう。

7.   人権尊重の取組を実践する方法

人権方針は策定すれば終わりではありません。策定した方針を誰も見たことがない、守っていないとならないように、自社全体にその方針を定着・実践することが大切です。どのようにその人権尊重を実現するかを人権方針に記載することも考えられます。

(出所)「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」

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