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社会福祉事業場 改善加算含めず割増計算 8割で法令違反発覚 敦賀労基署(2025/3/13)

福井・敦賀労働基準監督署(野﨑清隆署長)は、令和5~6年度に監督指導を実施した社会福祉事業場の78%で労働関係法令の違反を確認したことから、管内の社会福祉事業者に労務管理の見直しを呼び掛けている。時間外労働などに対する割増賃金を計算する際、算定基礎に処遇改善加算に基づく手当を含めていない事案が多発しているという。労働時間管理が不適正な事案も少なくなく、従業員の出勤日だけを確認し、出退勤時刻を把握していないケースがあった。

 同労基署は令和5年4月~7年1月までに、社会福祉事業を営む45事業場に定期監督などを実施した。そのうち35事業場で労働基準法などの違反が見つかり、改善を指導している。同労基署は事態を重くみて、労務管理の見直しを呼び掛けるリーフレットを作成した。管内の社会福祉事業者への配布を進めている。

 リーフレットでは、めだった違反として、時間外・休日労働などに対する割増賃金の不適切な支払いを挙げている。割増賃金の基礎となる1時間当たりの所定賃金額を計算する際、政府から介護職員の処遇改善を目的に支給される「処遇改善加算」を原資とする手当を算入していないケースが多いという。

 労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)と同法施行規則第21条では、割増賃金の基礎となる賃金から除外できる賃金を、家族手当や通勤手当などの7種類に限定している。同労基署によると、監督をした事業場では、処遇改善加算を原資として支給するものは除外できると捉え、含めていない状況にあったとした。

 労働時間を適正に管理できていない事業場も少なくなかったとした。使用者が従業員の出勤を現認しているものの、出勤簿に押印するだけで、出勤・退勤時刻を記録していないケースもみられた。自己申告制で管理している事業場で、従業員が出勤日を申告するのみで、出退勤の時刻を記録していなかったケースもあったという。同労基署は、「労働時間は、タイムカードなどを用いた方が確実で管理しやすい」と話した。

 そのほか、労働契約の締結・更新時に就業場所や業務の変更範囲を明示していない、年次有給休暇を年5日以上取得させていないなど、労働条件の明示や年休の管理に関する違反がみられた。

(以上 労働新聞より)

適切な労務管理は労使双方にとって最も大切です。計算方法が分からなかったり、間違ったまま計算していると思わぬ紛争の火種ともなります。労務管理でのお困りの際は、お近くの社労士へご相談下さい。

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